今回は…
『社会メモリーチェック』 (日能研プックス)
日能研ブックス チェックシリーズ
『メモリーチェック』、通称チェックシリーズは日能研ブックスが企画・編集し、日能研系列のみくに出版が発売している中学受験用の「要点のまとめ」付き問題集です。
有名な本ですから、日能研に通塾しているお子さんが身近にいなくてもご存知の方が多いと思います。
このチェックシリーズは、理科・社会がメモリーチェック、国語・算数がベストチェックというタイトルで出版されています。
教科それぞれに特徴があって、ニーズ(レベル)によって使い分けるものと私は理解しています。使用する場合でも4教科すべてを使用するお子さんは少ないのではないでしょうか?
通塾している場合、塾のテキストがあるので使用しないお子さんがほとんどかもしれませんね。日能研の生徒は別かもしれませんが…(^^ゞ
今回は、チェックシリーズのひとつ、4教科の中では一番使用されているのではないかと個人的に思っている『社会メモリーチェック』を使用するに至った経緯とその書評になります。
第1版(2019年)を改訂しました。
地域格差
以前このブログに書きましたように、ガン子(我が家)が在住する地方都市には、日能研、四谷大塚、サピックスなど有名な中学受験向けの進学塾はありません。
首都圏にある塾ではかろうじて栄光ゼミナールがありますが、定期テスト対策、学力向上(公立中進学コース)、地元の公立中高一貫校を受検するためコースを開設しているのみです。首都圏の中学受験に対応するコースはありません。
そのような塾環境も要因のひとつとして、わが家は自宅で「親子受験」になったのですが、自宅で勉強するにあたって、それぞれの教科で中心になる教材を選定しなければなりませんでした。
社会も重要ですが…
以前書評をアップした『中学受験 第一志望に合格したいなら「社会」の後回しは危険です』で野村先生にさんざん煽られましたので(笑)、社会も決して手を抜いてはいけないとは考えていました。
しかし、その書評の最後に理由を書きましたように、わが家(ガン子)の算数を中心に据えた勉強を変える気はなく、そうなると社会に関しては効率を重視する必要性がありました。
完成度が高い進研ゼミ中学受験講座のテキスト
ガン子は進研ゼミの中学受験講座(低学年から受講していた通常のコースからスイッチしました)を受講していたため、当初社会もそのテキスト、ワークを用いて学習していました。
進研ゼミの中学受験講座のテキストは色彩豊かで視覚に訴えてきて、内容は非常にわかりやすくできているため、子どもひとりでも勉強しやすいのが特徴です。プロが作ったテキストに対して素人が言うのも失礼ですが、本当によくできています。
しかし、ガン子を見ていると、わかった(覚えた)気になっているだけで実はわかっていない(覚えていない)というジレンマを親として感じていました。
真打ち登場!?
もっとシンプルで直球ストレートな(!?)教材はないだろうかといろいろ調べて、塾のテキストも含めて比較検討のうえ今回の『社会メモリーチェック』にたどり着きました。
評判を検索してみると、中学受験社会はこの1冊で十分対応可能であると多くの中学受験経験者(親)や家庭教師がブログなどに書いていました。
難関校以外なら…と注釈付きの方もおられましたが、その意見に同意する方が多いかもしれません。
幸いなことに、『社会メモリーチェック』は、私たちが在住する地方都市にある郊外型大型書店のわずかなスペースしかない小学生向け学習参考書コーナーに在庫されていました。
ニーズを考えても中学受験用の本のコーナーは存在するはずがありませんから、一瞬、「なぜここに(在庫している)?」「ここで買う人がいるのか?」とは思いましたが、深く考えずに内容を確認すると取り組みやすそうでしたのでさっそく購入してみました。
内容、真の実力は…
『社会メモリーチェック』は、社会の学習内容を80の章(項目)に分け、1つの項目が見開き2ページ、左ページが「要点のまとめ」、右ページが「ポイント・チェック問題」で構成されています。この見開き2ページで1つの章が完結します。
「要点のまとめ」は入試でよく問われる重要なポイントで、詳しい説明はないものの比較的細かな項目まで記載されています。
「ポイント・チェック問題」は“メモリーチェック”するように大部分が穴埋めですが、各章文章題が一問あり、ところどころに資料読み取り問題もあります。
巻頭には「弱点診断テスト」があり、地理が108題、歴史が81題、公民・世界が51題の合計240題、それぞれの章に対応するように構成されています。これは巻頭にあるからといって必ずしも最初にする必要はなく、ガン子のような初学者の場合、80章を何回か繰り返したのちに知識不足の分野を見つけるためにテストするものととらえて良さそうです。
弱点
どの参考書・問題集にも良いところ、悪いところはあります。
勉強、特にさまざまな学校の過去問を解いていくと、『社会メモリーチェック』にはこんな項目が載っているのか!と感じることもあれば、これは掲載されていないんだ…ということもあります。情報量と質の問題です。これはどんな参考書・問題集にもある宿命のようなものですので、適宜補うしかありません。
また、シンプルに項目ごとに構成されていますので、知識をタテ、ヨコ、ナナメと有機的につなげることに関しては得意ではありません。ですから、知識が有機的につながるように、他書や資料なども用いて意識的に勉強しなければいけません。
そして、どの社会の本も似たようなものですが、歴史分野で「時代の流れ」がつかみにくいというのはこの本も例に漏れないと言ってよいでしょう。
結論
日能研によると、『社会メモリーチェック』を中学受験を目指す小学生の最後の仕上げとして活用するために構成したとのことです。
一般論として、学習するお子さんの学力(偏差値に変換してもいいのかもしれません)によって有用性が違ってくるはずです。そういう意味でも、できる、成績の良い子にとっては有用ではないかもしれません。
では、自宅で(首都圏)中学受験の勉強をするほぼ初学者の場合、『社会メモリーチェック』は有用か否か?
わが家の解答は「有用」です。
初学者でもその使い方次第で、これ1冊で十分“戦闘力”を確保できると思います。しかし、親が子どもそれぞれに合った使い方を試行錯誤しながら見つけなければいけないという手間がかかります。
項目項目の連続で知識を有機的につなげることに関しては難題になりますが、それは別の書籍、方法で補えば良いと考えています。
最後に
『社会メモリーチェック』は例年7月にその年度の版が出版されています。年度ごとに内容が大きく変わることはありませんが、前年度のものを使用している場合、新年度が出版されたら、一応内容をチェックしておいた方が良いと思います。
わが家で実践した『社会メモリーチェック』活用術に関しては、次の機会にアップしたいと思います。
(F)