今回は…
『社会メモリーチェック』 (日能研プックス)
日能研ブックス
有名な本ですからご存知の方が多いと思いますが、『メモリーチェック』シリーズは日能研ブックスが企画・編集し、日能研系列のみくに出版が発売している中学受験用の「要点のまとめ」付き問題集です。
このシリーズは、理科・社会がメモリーチェック、国語・算数がベストチェックというタイトルで出版されています。
教科それぞれに特徴があって、私自身はニーズ(レベル)によって使い分けるものと理解しています。使用するにしても4教科とも使用するお子さんは少ないのではないでしょうか?(通塾している場合、使用しないお子さんがほとんどなのかもしれませんね)
今回は、そのシリーズのひとつ、個人的に一番使われているのではないかと思っている『社会メモリーチェック』のお話になります。
第2版2020年(最新版)はこちら。
地域格差
以前このブログに書きましたように、ガン子(我が家)が在住する地方都市には、N、Y、Sなど有名な中学受験向けの進学塾はありません。
首都圏にある塾ではかろうじてE光ゼミナールがありますが、地元の公立中高一貫校を受検するためのカリキュラムを組んでいて、基本的に首都圏の中学受験に対応するカリキュラムはありません。
そのような環境も要因のひとつとして、わが家は自宅で「親子受験」になったのですが、それぞれの教科に関して中心になる教材を選定しなければいけませんでした。
社会も重要ですが…
以前書評をアップした『中学受験 第一志望に合格したいなら「社会」の後回しは危険です』で野村先生に煽られましたので(笑)、社会科も手を抜いてはいけないとは思っていました。
しかし、その書評の最後に理由を書きましたように、わが家(ガン子)の算数を中心に据えた勉強を変える気はなく、そうなると社会に関しては効率を重視する必要性が出てきました。
完成度が高い中学受験講座
ガン子はベネッセの中学受験講座を受講していたため、当初社会もそのテキスト、ワークを用いて学習していました。
ご存知の方も多いと思われますが、ベネッセの中学受験講座のテキストは色彩豊かで視覚に訴えてきて、内容は非常にわかりやすくできているため、子どもひとりでも勉強がしやすいのが特徴です。
しかし、ガン子を見ていると、わかった(覚えた)気になっているだけで実はわかっていない(覚えていない)というジレンマを親として感じていました。
真打ち登場?
もっとシンプルで直球ストレートな(!?)教材はないだろうかといろいろ調べて、比較検討のうえで今回の『社会メモリーチェック』にたどり着きました。
検索してみると、この1冊で中学受験社会は十分対応可能であると多くの中学受験経験者(親)や家庭教師がブログなどに書いていました。
難関校以外なら…と注釈付きの方もおられましたが、その意見に同意する方も多いかもしれません。
幸いなことに、『社会メモリーチェック』は、私たちが在住する地方都市にある郊外型大型書店のわずかなスペースしかない小学生向け学習参考書コーナーに在庫されていました。
ニーズを考えても中学受験用の本のコーナーは存在するはずがありませんから、一瞬、「なぜここに?」「ここで買う人がいるのか?」とは思いましたが、深く考えずに内容を確認すると取り組みやすそうでしたのでさっそく購入してみました。
内容、真の実力は…
『社会メモリーチェック』は、社会の学習内容を80の章(項目)に分け、1つの項目が見開き2ページ、左ページが「要点のまとめ」、右ページが「ポイント・チェック問題」で構成されています。この見開き2ページで1つの章が完結します。
「要点のまとめ」は入試でよく問われる重要なポイントで、詳しい説明はないものの比較的細かな項目まで記載されています。
「ポイント・チェック問題」は“メモリーチェック”するように大部分が穴埋めですが、各章文章題が一問あり、ところどころ資料読み取り問題もあります。
巻頭には「弱点診断テスト」があり、地理が108題、歴史が81題、公民・世界が51題の合計240題、それぞれの章に対応するように構成されています。これは巻頭にあるからといって必ずしも最初にする必要はなく、ガン子のような初学者の場合、80章を何回か繰り返したのちに知識不足の分野を見つけるためのものととらえて良さそうです。
弱点
どの参考書・問題集にも良いところ、悪いところはあります。
勉強、特にさまざまな学校の過去問を解いていくと、『社会メモリーチェック』にはこんな項目が載っているのか!と感じることもあれば、これは掲載されていないんだ…ということもあります。これはどんな書籍にもある宿命のようなものですので、適宜補うしかありません。
シンプルに項目ごとに構成されていますので、知識をタテ、ヨコ、ナナメと有機的につなげることに関しても得意ではありません。
また、どの社会の本も似たようなものですが、歴史分野で「時代の流れ」がつかみにくいというのはこの本も例に漏れないと言ってよいでしょう。
結論
日能研によると、『社会メモリーチェック』を中学受験を目指す小学生の最後の仕上げとして活用するために構成したとのことですので、一般論としては、学習するお子さんの学力(偏差値に変換してもいいのかもしれません)によって有用性が違ってくるはずです。そういう意味では、できる、成績の良い子にとっては有用ではないかもしれません。
では、自宅で(首都圏)中学受験の勉強をするほぼ初学者の場合、『社会メモリーチェック』は有用か否か?
わが家の解答は「有用」です。
初学者でもその使い方次第で、これ1冊で十分“戦闘力”が確保できると思います。しかし、親が子どもそれぞれに合った使い方を試行錯誤しながら見つけなければいけないという手間がかかります。
項目項目の連続で知識を有機的につなげることに関しては難題ですが、それは別の書籍、方法で補えば良いと考えています。
最後に
『社会メモリーチェック』は例年7月にその年度の版が出版されています。年度ごとに内容が大きく変わることはありませんが、前年度のものを使用している場合、新年度が出版されたら、一応内容をチェックしておいた方が良いと思います。
わが家で実践した『社会メモリーチェック』活用術に関しては、次回アップしたいと思います。
(F)