小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」 中根克明著

『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』

著者:中根克明

育児/教育本

さて今回の書評も育児/教育本です。中学受験とは直接関係ない内容ですが、ガン子の状況を考えるたびに過去の教育について考えさせられていたので、何かが間違っていた、何かが遅かったなら、修正できる可能性がないかと淡い期待を持ちつつ読んだ中の1冊です。まあ、現実的にはどうしようもなかったのでしょうが…。

著者

著者は、作文教室の草分け的存在である「言葉の森」を横浜市で開講している中根先生です。およそ作文とは結びつかない千葉大園芸学部出身の異色の経歴をお持ちで、これまでの生徒は幼稚園年長から社会人まで幅広いそうです。

先生は小学校低学年の勉強は、多少できないことがあっても、成長に応じてやがて誰でも自然にできるようになると考えており、高学年になって差が出る創造性や思考力を育てる方が良いとお考えのようです。それらを育てるものは、目に見える勉強より、読書、親子の対話、自由な遊び、自主的な生活など、家庭生活の中で普通に行われているものと述べています。

内容

以下、章別の簡単な内容です。

第1章 小1・小2・小3はとても貴重で大切な時間

「小学校最初の3年間」は輝かしい黄金期(⇒7歳から9歳で格段に成長する)、学習塾に習い事…「何かさせなきゃ」と焦らない(⇒家庭学習の習慣がつけば十分)、最優先すべきは「好きなことに熱中する」時間、ただひとつたっぷりさせたいこと読書(⇒国語は学力の基本)、この時期は勉強=読書と考えていい、「家庭」を最高の教育の場にする

第2章 3年間の読書量で学力が決まる

「本を読んでいるだけで国語が得意」な理由、読み聞かせはまだまだ有効(⇒読み聞かせは「耳からの読書」)、「自分で読む」のが苦手な子はまず1ページから、たちまち本好きになる!厳選おすすめ本、いろいろな本をたくさん。同じ本を何度も、「説明文」の本を読むと本当に頭がよくなる、読書は習慣。1日10分でいいから続けたい、小3までに「本っておもしろい」と目覚められたら最高

第3章 後伸びする低中学年の勉強法

家庭学習は最低限。でも毎日確実に(⇒計算と漢字の書き取りだけは訓練が必要)、学校の宿題をしていれば大丈夫?、「少なすぎる」くらいがちょうどいい分量(⇒1日1まいでかまわない、早く終わっても追加は厳禁、帰りが遅くなった日は1問でも)、難問や先取りは勉強嫌いになるだけ、「できたところ」をとにかく褒める(⇒勉強は明るく楽しく、×だったら、これでまた賢くなると喜ぶ)、英語はいつから始めるべき?(⇒まずは日本語を確実に)、塾に通わせることの是非(⇒親の目が行き届くのが家庭学習の利点、塾はアドバイザー的な立ち位置に)、勉強の勝負は大学受験の18歳のとき(⇒本気になるのは15歳から、中学受験をするかどうか、高3で勉強の質が大きく変化する)

第4章 「遊び」をとことん充実させる

これからは遊びの中で育てた個性が光る時代、親子で一緒に楽しむ時間をもっと増やす、特別なおもちゃがない方が子供は夢中になる、「実験的な遊び」を取り入れてみる、「道具」を使いこなせると一気に遊ぶ幅が広がる、今一番熱いのはプログラミング、自然の中でどっぷり満喫したい「採集体験」、生き物を飼うことのすすめ

第5章 本当に地力のある子に育てていくために

一生の宝物になるたくさんの思い出を(⇒ずっと覚えている褒められたこと)、子育ての目的は幸福な子供時代を与えること(⇒成績の良し悪しは二の次)、他の子と比較しない(⇒とくに兄弟姉妹と比べない)、大きく伸びるために本当に必要なしつけ(⇒嘘をついたらガツンと、汚い言葉を使わせない、お手伝いで片付け力を)、「人生論」を家庭で(⇒親の失敗談を話す、ことわざが生き方の指針に)、家族同士の付き合いから多く学べる(⇒よその家に泊まるのは貴重な体験)

私見

シンプルに要約すると、「よく読み(読書)、よく遊べ」ということになるでしょうか?奇をてらったことは書かれておらず、小学校低学年は読書や家族との会話・体験を大切にすることで、のちのち成長する地力のある子どもを育てましょうという内容でした。どこかで見たこと、読んだことがあると感じる人が多いかもしれませんが、逆にスタンダードな話と言えるのかもしれません。絵本と児童書が28冊ずつのオススメ本として紹介されています。参考になりました。

(F)

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