兵器庫
イングランドのプロサッカー・リーグ、
イングランド・プレミア・リーグ(EPL)*に
アーセナル(=兵器庫、兵器工場という意味)という名称の
強豪フットボール・クラブ(FC)があります。
今日はそのアーセナルの今シーズンのお話を書きます。
中学受験とは関係ないようで、 関係あるような…。
前置きが長い話になりますがお付き合いください。
* レベルの差は歴然ですが、日本ならサッカーJ1リーグに相当します。
プロフェッサー
アーセン・ヴェンゲル。
20年以上前になりますが
1995~96年に監督としてJ1の名古屋グランパスを率いたので
日本でも知っている方が多いと思います。
(過去には日本代表監督待望論がありました)
ヴェンゲル氏は97年から22年にわたりアーセナルの監督を務めました。
彼はアーセナルの監督に就任後、
選手、戦術、組織、施設などすべてにおいて
時には選手やスタッフと軋轢を生みながらも改革し、
アーセナルの代名詞となったサッカースタイル、
ダイレクトなパスサッカー(⁉)を確立しました。
結果、49戦無敗の記録を作り、リーグ戦無敗優勝を成し遂げ、
名実ともにアーセナルを一流クラブに押し上げました。
しかし、どこかの国の政権のように22年という期間は長すぎたようで
当然様々な要因があったのだとは思いますが、チームは失速し、
近年は成績不振に陥ってしまい、辞任という形で終焉を迎えました。
EL優勝監督と暫定監督
ヴェンゲル氏辞任後、監督に就任したエメリ氏は
他のチームで良い結果をもたらした優秀な監督でした。
しかし、アーセナルでは良い成績を残せず、
チームを率いて2シーズン目の今シーズン途中に
極度の(!!)成績不振を理由に解任されました。
その後、クラブのレジェンド(OB)が火中の栗を拾ってくれ、
暫定監督に就任しましたが焼け石に水。
星取表(戦績)には影響がありませんでした。
元主将
そんなチームが大変な状況下で監督に就任したのが
現役時代アーセナルの主将を務めたこともあるアルテタ氏です。
アルテタ氏は現役引退後すぐに指導者の道を歩み始めましたが、
引退した時の所属チームであるアーセナルに残るのではなく
同じリーグのライバルチーム、
マンチェスター・シティのグアルディオラ監督のもとで
アシスタントコーチに就任して
最新のフットボール理論を吸収することを選択しました。
(フットボール理論はどんどん進歩・進化しています)
そして、今回、元所属チームの窮状を憂い、
監督就任オファーを二つ返事(⁉)で引き受けてくれます。
しかし、アルテタ氏にはこれまで監督経験はなく、
その実力に疑問符を投げかける論調もありました。
監督の仕事
アルテタ氏が監督に就任した時、
おそらく選手たちはかなり身構えていたことと思います。
この成績不振の中で俺、俺たちをどうするんだ?
最新のフットボール理論を振りかざして、
俺、俺たちをどう使い、成績不振のチームをどう立て直すんだ?と。
サッカー選手もプロですから、「自分」を強く持ち、
監督と意見が合わないことはしばしばあります(あるはずです)。
前監督時代になかなか起用してもらえず
内心腐りかけていた選手もいたのも事実です。
そういうこともうまくコントロールするのも監督の仕事になります。
同じメンバー異なるチーム
就任後、アルテタ監督はまず戦術ではなく
戦う姿勢など精神的な面から選手たちに自分の考えを伝えました。
自分の考えが浸透したと判断したのちに
練習において自分の戦術を落とし込み始めました。
するとどうでしょう?
これまでと同じ選手たちなのにチームは見違えるように戦い、
試合内容は改善し(まだまだ多くの改善の余地がありますが…)、
勝てていないという批判もあるものの
試合に負けない粘り強さが出て、引き分けに持ち込んで、
少なくても1ポイントを奪取するようになりました。
人は心、人心掌握
今回のアーセナルFCの劇的な変化は
大人、そして、プロ選手であっても
監督次第でチームが見違えるように変わるという好例です。
それなら、子どもは?
もちろん、子どもは小さな大人でも(受験の)プロでもありませんが、
親次第で大人以上に表情、行動、結果が変わる可能性があるはずです。
もちろん、塾や家庭教師の先生によっても…です。
中学受験のために日々ストレスフルな生活を送っている子どもが
(子どもの資質による感じ方の個人差は当然あると思いますが…)
親のひと言でどれだけ変化するか想像に難くありません。
そういうことを意識、理解できたら、
自宅だけでも気持ちよく生活させてあげたくなりますよね。
受験生の親御さんには釈迦に説法なのかもしれませんが、
今回は「答えは心の中にある」という言葉で終わりにしましょう。
(F)