【書評】合格させたいなら脳に効くことをやりなさい

「合格させたいなら脳に効くことをやりなさい」

著者:吉田たかよし

「合格」「脳」

昨日の林先生の「合格脳のつくり方」に続いて、タイトルに「合格」「脳」というキーワードが入っている受験本です。吉田先生の著作は2冊目の紹介になります(前回はこちら)。

脳神経(外科)がご専門の林先生の「合格脳」を作る方法は、簡単に言えば、どの子も同じように成功体験の積み重ねから好循環を目指すものです。受験生の脳機能を専門に扱っている心療内科の吉田先生は、もう少し細かくアプローチする点が違います。

非「受験エリート」

プロローグには、「受験エリート」の勉強法はマネしてはいけません。なぜなら、「受験エリート」は普通の子たちと脳のタイプが違うからと述べています。この言葉を「受験エリート」本人に言われてしまうとちょっと…と思ってしまいました(苦笑)。

吉田先生によると、頭の良し悪しは、脳の認知機能の差とのことです。子どもにはそれぞれに適性があって、適性に合ったものをやらなければ、いい結果が出ないのは当たり前で、その子の脳の性質に合った勉強法をしないと、脳機能に“故障”が起きてしまうそうです。なるほど、適性によって勉強法を変える必要があるので、様々なアプローチをとることになるのだと思います。

この本では、認知機能のレベルが「中くらい」の子どもを対象に有効な勉強法、子どもを志望校の合格させるために親がやるべきこと・やってはいけないことを解説しています。

内容

第1章 受験は、親の「脳サポート力」で決まる

社会環境の変化により、昔に比べてどんどん精神的に未熟になっていて、感覚的に大学受験する段階でも昔の小学生くらいのイメージと述べています(これはちょっと大げさ?)。だからこそ、親のサポートで、「やる気を出させる」のではなく、「やる気をコントロール」することが重要だそうです。言葉が違いますが、ここでも林先生の「成功体験」のように「達成感」を積み重ねることでやる気が育てられると述べています。そして、「作業興奮」という脳のメカニズムを利用してやる気ホルモンと呼ばれるドーパミンを出すために、5分間勉強法をオススメしています。5分間勉強法には、簡単な(ここ重要!)計算ドリルや音読が有用とのことですが、こういう医学的なことを意識しないで、勉強の最初に計算ドリルでウォーミングアップをしている家庭も多いと思います(我が家も…)。やる気が出たら、それを持続するために上手な休憩(体を動かすこと)をとり、朝の習慣を変えて脳が覚醒するように説いています。

第2章 脳の仕組みを利用して、記憶力を強化する

記憶には、脳の海馬に一時的に保存される(2週間程度しかもたない)「短期記憶」と、大脳新皮質に長期に保存される「長期記憶」があり、その性質を理解した記憶法で覚えて「長期記憶」にする方法が書かれています。授業後は復習が重要で、特に直後なら短時間の復習で知識として定着する割合を上げられるとしています。また、好き嫌いを優先することは、記憶にとってメリットが大きく、好きな科目の勉強ばかりしていると、次第に興味が持てなかった科目の意味や重要性があとからわかると書いていました(本当なのかな?と思う部分もありますが…)。勉強自体が嫌いな子では、まずは生活のいろいろなことに関心を持たせ、第2段階として、それを勉強に置き換えていくのが現実的なやり方だそうです。最も効率よく勉強好きにするには、勉強に取り組む科目の順番を適切に選ぶことが必要と断言していました。

第3章 子どもの脳が効率よく働く「学習環境」を作る

受験は家族の団体戦なので、弟・妹も含めて家族の協力が必要。受験生の娯楽は脳には必要なものの、娯楽の後に勉強することは脳のしくみに合わず、うまくいかないので、テレビやゲームは視界から隠す。子どもに実行可能な計画を立てさせ、自己コントロール力をつけさせる。志望校の写真で脳に「目標」を明確化させる。机のまわりの整理で勉強の効率を上げるなど長期間にわたって勉強を頑張ることができる脳にする環境整備について説明されていました。

第4章 わが子の脳の力を120%引き出す合格作戦

推薦入試・AO入試、内申、プレゼンテーション、食事、笑う習慣、試験当日の朝に脳機能を活性化する方法、など中学受験向けというより、高校・大学受験向けの内容が多い印象でした。

私見

本を読んだり、人に聞いたりしていろいろと試したけど、うちの子にはちょっと…、という親御さんにとって、別の解(アプローチ方法)が載っているかもしれない本だと思いました。

(F)

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