今回は…
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』 (学研)
著者:工藤順一
頭のいい子って…
今回も作文の本、『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』の紹介です。
学研の頭のいい子を育てるシリーズ、国語専科教室の教材として発行されています。
この本は、スタンダード(レベル)「小学2年~小学4年」向けに作られています。
“頭のいい子…”に個人的には少しひっかっかるものがあって、対象学年もガン子より下の学年でしたが、内容は作文に対する最初のアプローチとしては“あり”だと思ったので購入しました。
2007年が第1刷で、わが家で手に入れた本は2009年の第2刷になります。
工藤順一先生
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』の著者、工藤順一先生は、大学を卒業後、大手学習塾の講師、大学の研究員などを経て、1997年に「国語専科教室」(東京都渋谷区)を開校しています。
受験国語を教えるのではなく、正しい読み書きの力を育てる独自のメソッドを確立して子どもたちを指導していたようです。
残念ながら、2016年12月に先生は他界していますが、「国語専科教室」は先生の志を引き継いで現在も運営されています。
まえがきで…
「はじめに」で『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』の出版意図が、
「このドリルはクイズやパズルやマンガなどを使い、楽しい問題をすることで、正しく考える力や習慣を身につけるために作りました。いわば、考えるための材料です。」
と書かれています。
国語はすべての教科の基礎のなる教科であることに関しては異論はないと思います。しかし、たとえば算数とは勉強のアプローチが異なり、算数ほどは具体的な学習方法、教材や解法が確立されているとは言えません。
実際、言葉や漢字を覚えても、それらを使ってどのように考え、どのように文章を書けばよいのかわからないということは起こりえます。それ対する工藤先生からの解答がこの本になるのだと思います。
この本の問題は、内容が子どもでもすぐに把握できる身近なものや図形、マンガなどを題材にしています。その内容を言葉で説明できるようになるための練習を3つのステップで段階的に行えるように構成されています。
基本
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』は、「基本」、「応用」、「展開」の三部構成になっています。
最初の「基本」は、観察・分類・比較作文で考える習慣をつける練習になります。
たとえば、「編隊飛行」という2枚の絵を与えられてある飛行機がどうやって自分の影を見つけることができたか説明する、九九の九の段の式と答えから数字の秘密を見つけて説明するといったものです。
自ら観察してわかったこと、自ら分類してわかったこと、自ら比較してわかったことを頭の中で整理して文章化するトレーニングをします。
応用
次に「応用」です。
「基本」で学んだことを複合的に利用して、かたち、ルール説明、ふしぎな絵や文などの説明を正しい言葉を行うことを学びます。
たとえば、図示されたかたちの変化を言葉で説明したり、ジャンケンをしたことがない人にしくみがわかるように言葉で説明するといったものです。
展開
最後に「展開」で、「コボちゃん」作文、「プロフェッサーPの研究室」作文になります。
これはストーリーのある2~4コママンガを見て、それを見ていない人(第三者)にもわかるように書き言葉(作文)で説明する勉強をします。
別冊
家庭で専門家でない親でも子どもに指導できるように、別冊として『解説と指導のポイント』が付属しています。
修了後
『国語脳ドリル 作文王』は、「スタンダード」を修了すると「トップレベル」(次回紹介予定)を学習することになります。
「国語専科教室」に通学している生徒さんのカリキュラムも同様ですが、教室では6年生の受験対策の指導もしていて、毎年難関校合格者を出しているようです。
結論めいたこと…
前回の宮川先生の『家庭でできる10分作文』とは異なるアプローチの作文の本です。
どちらも受験や受検対策をうたっていませんが、実践すると国語力・作文力アップに寄与すると思います。
優劣はつけられませんが、作文の題材を考慮すると『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』の方がより受検(受験!?)向きだと思います。
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』は、「小学2年~小学4年」向けとはいえ、作文を書くことに慣れていないと、6年生でも少し手こずるはずです。
作文の“入門書”が欲しい時、選択肢のひとつに入れておくべき本だと思います。
(F)