地方都市の書店で古典的名著 『家庭でできる10分作文』 宮川俊彦 -受検作文対策初歩編-

今回は…

『家庭でできる10分作文』 (小学館) 2013年第6刷

著者:宮川俊彦

地方都市の受験/受検事情

一部の大きな都市を除いて、地方都市では私立中学を受験する子は少ないのではないでしょうか?なぜなら、受験する私立中学そのものがない、あるいは、受験に値する私立中学がないからです。

われらが地方都市も例外ではありません。ガン子の同級生(同学年)で受験または受検する子はクラスに1人か2人とほとんどいません(底辺校ということもあるのでしょうが…)。

当然、ニーズがないので(まったくないとは言いませんが…)、中学受を目的とした有名進学塾は首都圏や関西圏から進出してきていません。中学受を目的とした進学塾は地元の塾が幅を利かせています。

地方都市郊外の書店

そのような状況下では、中学受験/受検用の参考書や問題集を手に入れることは簡単ではありません。

今は、昼夜問わず欲しい時にネットでポチッと書籍を注文できる便利な時代ですが、子どもに合った本を手に入れたくて、どうしても中身を確認したい時もあります。

しかし、地方都市では、中学受験/受検用の参考書や問題集を取り扱っている書店が少ないうえ、たとえ取り扱っていても、わずかな種類しか店舗に置いていないのが実情です。

なぜかネットで購入できなかったため、書店で注文した本も何冊かありますが、中身を確認せずやみくもに購入するのはやはり躊躇しますよね(^^ゞ

なぜ今、作文?

前段が長くなりましたが、今回は作文の本のお話です。

「なぜか???」

当ブログは地方在住ながら首都圏私立中学合格を目指す女の子(ガン子)の受験ブログなのですが、当初地元の公立中高一貫校を受検する予定でしたので作文の記事も何回かアップしてきました。

最近、受検作文について書いた記事への訪問者が多いので(…といっても当ブログの訪問者数は少ないので比率になります)、どのように対策したら良いのか、いろいろ悩んでいる方も多いのかなぁと思って、わが家で購入して使用した本の紹介をもう少ししたいと思います。

今回は地方都市郊外の書店で購入した作文の本、『家庭でできる10分作文』のお話です(小さな中学受験参考書コーナーに在庫がありました)。

宮川俊彦先生

『家庭でできる10分作文』の著者、宮川俊彦先生は、大学の教授・副学長、政府関係委員など歴任した教育評論家です。財団法人国語作文教育研究所(宮川作文塾とも言える?)所長として、子どもたちの作文・表現教育を長きにわたり実践していたそうです。

NHKテレビ・ラジオのコラムの担当、テレビへの出演や、毎日小学生新聞毎週土曜日の「とっちゃまんのスーパー読解特講」などの連載・寄稿が多数あり、小学館のドラゼミにも関わっていたことがあるようです。

残念ながら、2014年5月にご病気で他界しています

第1刷が2005年で、表紙写真の子どもの雰囲気に時代を感じさせます。わが家で手に入れた本は2013年の第6刷になります。

まえがきで…

「はじめに」で「10分作文」の狙いが書かれています。

ひとつは、作文嫌いな子どもたちに対して「こんな方法もあるよ」というひとつの処方箋として、もうひとつは区切られた短い時間内に自分の心の中をはき出す「表出」という回路を開拓することだそうです。

作文を書く際にキチンとした表現をしなければいけないと思って書けなくなってしまう子どもが、「表出でいいんだ」ということで楽に書けるようになり、自分を表出する爽快感を味わうことができるようになる。作文を書くことが苦ではなく、楽しくなるという好循環を生む効果があると考えてよさようです。

ひとつの学習テクニックとしての10分作文を家庭で活用することで、子どもたちをその気にさせ、意識を変えるということです。

第1章 10分で作文開眼

それまで学んできた知識や経験を言葉を使って、自分がどう感じ、どう考えたかを10分で書くことは、あらゆる学力の集約となり、毎日書くことで書く自信がつくと宮川先生は説いています。

時間を区切ることでゲーム感覚になって気持ちが高揚し、子どもでも集中してあっという間に10分経つことはありそうです。

最初はほとんど書けなくても、最終的に10分で800字程度書けるようになることを目標にしています。

第2章 家庭で10分作文をやるコツ -初心者編-

10分作文を習慣化する方法が書かれています。

親は、毎日1題、時間を決めて書かせ、旅行に行ってもその習慣はくずさず、題材がなく書けない場合は、あることだけに素材を絞り込んだ「ことだけ日記」を書かせることも有効だそうです。

この章からは、作文がスラスラ書ける8大テクニックが紹介されています。第2章ではテクニック1~5までが紹介されています。

<テクニック1 思い出し発想法>

書く題材がなかなか浮かんでこない時の発想法です。

<テクニック2 重箱のスミ発想法>

書くことがなくなった時に役立つ方法です。

<テクニック3 五感発想法>

感じたことをそのまま書く方法です。結果として生き生きとした表現になります。

<テクニック4 な・も・ど発想法>

「なぜ」「もしも」「どうすれば」を意識して、自分の意見を作る方法です。

<テクニック5 な・た・も・だ発想法>

「なぜなら」「たとえば」「もしも」「だから」を使って考えをうまくまとめる方法です。

第3章 10分作文を3題続けると効果的

第3章はテクニック6~8の紹介です。

<テクニック6 「書き出し文」「書き終わり文」のコツ>

書き出しや書き終わりの具体的なテクニック紹介です。

<テクニック7 「すいこう」のコツ10ポイント>

最後の仕上げ、推敲のコツが記載されています。

<テクニック8 「取材ノート」を作って作文のネタを集める>

これは作文を書いている時のテクニックではなく、次回への投資(テクニック)と言えるでしょう。

第4章 親ができるアドバイス集

家庭で親ができるアドバイスや導きについて書かれています。

・問題意識を深化させる

・会話から作文のネタ作りをする

・親子で考える姿勢を持つ

・どうしても書けない子にとるべき作戦

・自分の作文方程式を持つようにさせる

・テーマを整理しておく

第5章 作文で伸ばす国語力

前記をふまえて抵抗感なく作文を書けるようになったら、こっちのもの?笑

あとは技術、表現を磨くだけになりますが、作文を書き続けて作文力を上げることで、他の教科にも好影響を与えるということが書かれています。

結論めいたこと…

この本は受験・受検、〇〇中学で出題という文言とは無縁で、一見、受験や受検に直結していなさそうですが、実は…という作文の本だと思います。

この本の目標は、10分作文を続けることで、作文に対する苦手意識を払拭し、知識の整理がきちんとできるようになり、表現力が増すことです。

その目標設定の背景には、宮川先生の「作文は、題材を選んで、それを吟味、消化、昇華して、書き上げるので、あらゆる教科や学習の基本」というお考えがあるからです。

作文の書き方の説明は分かりやすく、具体例も多く、テクニックごとに実践問題も配置されています。作文が悩みの種になっている子どもが1日10分の作文を習慣化することで、劇的に変わるかもしれないという期待を持たせる本ですから、書店で一度手に取って確認してみて欲しいと思います。

10分という短い時間で、知識を消化し、アウトプットする作業を続けることは、国語以外の教科にとどまらず、実生活でさまざまな好影響を与えるのではないかと期待しています(笑)。

ここからは閑話…

この本を購入した書店は4月に閉店してしまいました。地方都市の受験(受験本)難民は続きます(泣)。

(F)

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