「中学受験 まんがで学ぶ! 国語がニガテな子のための読解力が身につく7つのコツ 説明文編」
著者:長尾誠夫
国語がニガテな子のための読解力が身につく7つのコツ 説明文編
今回ご紹介するのは、2017年5月に発行された『中学受験 まんがで学ぶ! 国語がニガテな子のための読解力が身につく7つのコツ 説明文編』です。最初に買った国語の読解の本ではありませんが、子どもに対するハードルが低い「まんが」ですので一番初めにご紹介します。
このまんがには、著者(実名で登場!)、中学受験を控えて不安になっている小学5年生の女の子、その弟で国語が大嫌いな小学4年生、そして、子どもたちになじみが深いポ〇モンならぬ、スケモン(助っ人モンスター)というキャラクターが登場して、姉弟の勉強を手助けする設定になっています。
最初に確認しておきますが、この本はタイトルにあるように「説明文」の読解だけを対象にしています。
以下は、各章の要約です。ネタバレ注意!
第1章 文章内の言葉に着目して筆者の言いたいことを見つけよう!
説明文の文章は、読者に言いたいことを納得してもらうための説明が多いので文章が長くなります。しかし、文章が長くても筆者の言いたい部分を抜き出せば良いと述べています。
その通りですね。文章が長いからといって、ひるむ必要はないということです。そして、筆者の言いたいことはだいたい決まったところにあるので、そこを見つけ出すことが読解のポイントであるとしています。
筆者は、見つけ出すポイントとして、①逆接ポイント、②打消しポイント、③まとめポイント、④気持ちポイント、の4つを挙げています。
①逆接ポイントは、逆接の接続詞、②打消しポイントは、文末や句読点に続く「ない」など打消しの言葉の後ろ、③まとめポイントは、「つまり」などまとめ言葉の後ろ、④気持ちポイントは、文末、文中、文頭問わず、筆者の気持ちが書いてある部分、です。
言葉に注目して、4つのポイントを探すことで筆者の言いたいことを見つけられるとまとめています。
第2章 文章の構成に注意して筆者の言いたいことを見つけよう!
この章では、文章の構成から筆者の主張を見つける方法を説明しています。
見つけ出す文章の構成として、著者は、①具体例、②対比、③疑問、の3つを挙げています。
①具体例は、筆者の気持ちや意見、物事の説明や分析など目に見えないものを物や行動、状況として可視化している部分、②対比は、自分の主張をわかりやすくするために他のものと比較して説明している部分、③疑問は、筆者が持っている問題意識に対する答えの部分、です。
第1章とこの章をマスターしたうえで、最終の第3章の練習問題につながります。
第3章 ゲットしたスケモンを使って中学入試問題を解いてみよう!
この章は、練習問題です。練習問題が大問で問題1~5まであります。本書にそった解説もしっかりついていて、本書の仕上げに最適だと思います。
著者は都立高校の先生だそうで、本編に入る前に「文章読解のコツに小学校も高校も関係ない」「コツさえマスターすれば、中学入試、高校入試、大学入試、すべてに対応できる」と述べています(出口先生なども同様のことを述べていたような…)。説明文の読解に関して基本的なところを理解すれば、以後応用が可能ということなのでしょう。
「説明文」に特化して、簡単に読解できるコツを7つに絞って「まんが」で学習するという類書のない読解の本でした。「まんが」ですから、子どもでも手に取りやすく、スーッと頭に入ってきやすいのではないでしょうか?「日本一楽しく、わかりやすい国語参考書!」と帯に書いてあるのも間違いではないと思いました。
難関・上位校をめざし、国語の日能研偏差値が常時55を超えるようなお子さん向けではないかもしれませんが、これから中学受験国語を勉強するお子さんの初学に、説明文の読解が苦手で国語の成績が伸び悩んでいるお子さんの振り返りにオススメできます。
今のところ、「説明文編」しか出版されておらず、今後「物語文編」、「随筆文編」が出版されるのか???難しそうですが、期待して待ちましょうか…。
(F)