嗚呼、国語…(泣)への回答!? ふくしま式『国語って子どもにどう教えたらいいの?』 福嶋隆史著

「国語って子どもにどう教えたらいいの?」

著者:福嶋隆史

嗚呼、国語

国語をどうするか、それが問題だ」で書いたように、国語の読解は深く考えずシンプルに答えを導き出せればいいと考えるようになったものの、その導き出し方に関しては、試行錯誤の日々です。

受験本を同様に、国語の読解の本も相当数購入して読み漁りました。「中学受験 まんがで学ぶ! 国語がニガテな子のための読解力が身につく7つのコツ 説明文編 長尾誠夫著」のように的を絞ったシンプルなものから、これを全部マスターするのは難しいと思わせるものまで多種多様でした。

ふくしま式

今回ご紹介する『国語って子どもにどう教えたらいいの?』は、熱狂的信者(!?)もいる「ふくしま式」の福嶋先生の21冊目の著作だそうです。かなり多いですね。実際、我が家でも

『ふくしま式「本当の語彙力」が身につく問題集[小学生版]』

『ふくしま式「小学生の必須常識」が身につく問題集』

『ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集[小学生版ベーシック]』

を購入して使用しました(別の機会にご紹介できたら…と思っています)。

しかし、『国語って子どもにどう教えたらいいの?』は、これまで出版してきた本の内容とは少し趣を異にします。もちろん、ふくしま式の国語指導法にのっとっていますが、先生の記述によると、この本は「とっかかり」になるように意識したとのことです。勝手に解釈すると、親が子どもに国語を教える際の悩み対して自ら答えを出す手助けになるといったところでしょうか?

『国語って子どもにどう教えたらいいの?』の対象と内容

①子どもに国語をどう教えればよいか見当がつかない、②子どもに教えているが内容がだんだんと難しくなって戸惑っている、③そもそも国語が苦手で教えることに引け目がある、④国語は得意だが子どもが納得するように教えるのは難しい、⑤理解が遅い子どもに効果的に教えたい、⑥国語の教え方の本をいろいろ読んだが難しくて実践できない、などを対象にしているそうです。

まあ、タイトルがタイトルですから、言われなくても察し…ですね(^^ゞ。「国語で困っている親、集まれ!」ということです。逆に言うと、中学受験国語だけの内容ではなく(むしろその内容は少なく)、もっと広い範囲のことが書かれています。

「音読から読解問題、作文・読書感想文まで、効果抜群のアドバイス集」の副題で、パート1~4の構成になっています。それぞれのパートに、国語を教えるうえでの疑問や悩みに対する質疑応答式のアドバイスが記載されています。

パート1 読み書きの基本

パート1は、読み書きの基本となる音読(チェックの仕方)、漢字(効果的な練習方法、意味の理解)、文字(丁寧かつ正確に書かせる)、語彙(ムリなく増やす)、読点(つけ方のルール)について書かれています。

パート2 テストの解き方・考え方・直し方

パート2は、この本の中で最も中学受験に関係するパートです。

物語文の読解、説明文の読解、読むスピード(速読)、記述式のテスト直し(答えの確認の仕方、解答欄が空白の場合の対応、「てにをは」の間違い)、選択式のテスト直し(間違いの説明)について、主に読解問題を家庭でどう教えればよいのかについて書かれています。

パート3 作文・感想文・自由度の高い記述答案

パート3は、「書き」に関する内容です。日記・作文が書けない場合、自由度の高い記述答案の書き方、決められた時数を守らせ方、読書感想文の書き方の教え方、作文での表現の工夫の仕方、作文の評価軸について書かれています。

パート4 こどもに「正しく教える」ために

パート4は、親の心構えに関するパートです。テストの点数との向き合い方、読書に対する考え方、国語力、教育の本質、子どもの将来について書かれています。

(個人的にはこのパートが一番好きなので少し詳しく書きます)

子どもに国語を教えるにあたっての親の心構えとして、テストでは「まず5点分」「まず部分」といった現実的な目標を立てることをすすめています。いきなり満点をとることはできないので、「千里の道も一歩から」ということだですね。

読書に関しては、読むだけでは価値はなく、「他者の思考回路を獲得すること」によって初めて価値を持つと述べています。「井の中の蛙大海を知らず」にならないように、読書をすることで広い見識を持ってはじめて読書の価値があるということです。まさにおっしゃるとおりで、私自身も「へえ、こういう考えもあるんだ」と感想を持った作品は記憶に残っていますし、大げさに言うと人間としての幅を広げてもらったような気がします。

国語力に関しては、まずは「他人のまねをせよ。自分で考えるな」と述べています。それは国語にも一定の公式(技術・型・方法)があるからです。国語力は、①言いかえる力、②くらべる力、③たどる力、の3つの技術で高めることができるというお考えのもと、ふくしま式の問題集などが執筆されています。

教育の本質、教えるべきか、教えざるべきか?で悩んだ時は、全面介入ではなく、子どもが自分でやったという達成感を残しながら教えるべきと述べています。達成感は、モチベーションにつながり、さらに達成感を得たいという好循環を生むと思います。

最後にダメな子どもを目の前にしたら、「5年後、10年後、20年後にわが子が今をどう振り返るか想像しながら、教え、育てよう」と述べています。子どもでもひとりの人格として尊敬しようと…。これはなかなか難しいことですね。むしろ、現在のあまりの酷さに5年後、10年後、20年後を想像して暗くなるような…(苦笑)。

 

『国語って子どもにどう教えたらいいの?』は、福嶋先生の他書と同様、先生の独自のお考えが全編にわたってゆきわたっている印象を受けた本でした。

この本に記載されている子どもへの「声かけ」のお手本は、「書いてあるとおりに、言ってみる。(注:一度でだめなら何度でも)」、「我流のセリフで声かけしてしまっては、この本の価値は半減してしまいます。」と述べていますので(理由に関しては明記していませんが…)、お手本として絶対的な自信があるのだと思います。

その絶対的な自信を信じて実行するか否かは、子どもの性格をよくわかっていて、国語を教える親自身の判断になります。

(F)

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