「頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと」
著者:川島隆太
今は昔 DSソフト脳トレ
DSソフト脳トレを覚えているでしょうか?3DSが発売されるはるか昔に大流行しましたね!かく言う私も購入してプレイしましたが、全然ダメでした。よく年齢以上の結果をたたき出していました(苦笑)。そのDSソフト脳トレを監修した東北大学加齢医学研究所所長で脳科学者の川島隆太先生の著作です。川島先生のお考え(学説!?)は専門家の間で異論も見られるようですが、キャッチ―なタイトルだったためネットでポチッ!と購入してしまいました(汗)。
使命感
高名な先生ですので、文部科学省や自治体と研究をしていて、それらで得られた結果によって、現代社会が子どもの脳の健全な発達を妨害する落とし穴だらけであることがわかったことがこの本を出版した意図と述べています。先生は「子どもたちの未来を守るため」という使命感があるようです。
内容
この本の中には、「今すぐ絶対やるべき第〇のこと」ととして9つのことが挙げられていて、それぞれについて自らが主導した研究のデータも示しながら説明しています。
今すぐ絶対やるべき第①のこと 「米+おかず」の朝ご飯を食べる
成績上位層グループの方が必ず朝ご飯を食べている率が高い、朝食を食べている子の方が学力・走力とも高い、朝食を食べる子は偏差値が高い、朝食を摂る子どもは体温が高い、主食がご飯の子どもの方がMRI画像で灰白質の体積が大きい、GI値が低い方が子どもの体はよく発達する、朝ご飯の「おかずの数」が多い方が子どもの発達が良い など
今すぐ絶対やるべき第②のこと 朝食は親子で一緒にとる
子どもの意欲を引き出すために最も強い影響をもたらしていたのは朝ご飯、朝食を親子で一緒にとることは子どもの内発的意欲に一番影響する
今すぐ絶対やるべき第③のこと スマホは1日1時間以内を厳守する
スマホ(インターネット)を使う時間が長いほど成績が下がる(当然かと…汗)、そこから踏み込んで子どもがスマホを使うと、学校で勉強したことが頭の中から消えてしまう(メカニズム不明…)、LINEなどメッセージアプリは使ったら使った分だけ成績が下がる、教育現場のIT化は子どもたちの発達という観点では非常に危険、勉強中に使うアプリの数が多ければ多いほど成績が下がる、使用時間は睡眠時間が長すぎても短すぎても成績が下がる など
今すぐ絶対やるべき第④のこと 脳を硬直させるテレビとゲームを遠ざける
テレビを長時間見ている子どもは言語知能の発達が遅れる、ゲームで遊んだあとは脳がなかなか働かない、ゲームをやればやるほど成績が下がる、ゲームのプレイ時間が長いほど脳の発達に遅れが見られる、読書習慣がある子どもほど言語に関連する脳の部位が発達している など
今すぐ絶対やるべき第⑤のこと 親子で「脳トレ遊び」「料理」をする
家族とのコミュニケーションが多い子どもほど「目標意識」や「探究心」が高まる傾向があり、学力も高い傾向がある、親子で一緒に過ごす時間が長いほど、脳の中で言語や言外のコミュニケーションにかかわる領域の体積が大きい、親と一緒にいることで子どもが安心してストレスが減って認知機能が高まる、幼少期の触れ合い体験の差で大人になったときの幸福度が変わる など
今すぐ絶対やるべき第⑥のこと 幼児は読み聞かせ、小学校からは音読
読み聞かせは聞いている子どもの脳と読んでいる大人の脳のどちらにも好影響を与える、文字を読めるようになったら役割を交換して子どもに読ませる(前頭前野が働く)
今すぐ絶対やるべき第⑦のこと モノのごほうびはNG!言葉で速攻ほめる
「楽しいから」と「ごほうびがもらえるから」、動機の違いで学力に差が出る、子どものやる気を高めたいなら「すぐほめる」のが効果的(前頭前野の右側を含めて脳が非常に強く反応する)、話をきちんと聞いてあげると子どもの自己肯定感がアップする(自己肯定感が上昇した子どもは偏差値が上がる) など
今すぐ絶対やるべき第⑧のこと 脳は寝て育てる
睡眠時間が短い子どもはあらゆる面で能力が低い、睡眠時間が長いほど脳の海馬が育つ、学習した内容は寝ている時に脳に記録されて定着する、睡眠時間が短いほどその復習タイムが失われる、東大合格者の約75%は夜11時前に就寝していた、遅くまで頑張って勉強するより、早寝早起きの方があらゆる面で重要で、実際に成績アップにつながる など
今すぐ絶対やるべき第⑨のこと 外遊びで育てる
運動習慣は子どもの認知機能を向上させる、有酸素運動で脳の神経細胞の成長に関わる脳由来神経栄養因子が増える
私見
「おわりに」には、国家公務員だったの父親から受けた教育や、自らが国立大学の教員として税金で研究を行い、生活を営んでいることを意識し続けていることが書かれています。そして、これまでの人生で国民にもらったもの以上の何かを積極的に社会に還元しなくてはいけないと考えるに至り、未来を支えてくれる子ども達の健やかな脳の発達を支えることに還元することに決めたそうです。大変素晴らしいお考えだと思います。
先生のデータはアンケートのデータが多く、ネット上ではデータの信頼性や解釈、研究のデザインにも異論が見られるようです。親としてはこの本に記載されている9つ全部実行できないにしても、自らが子どものために良さそう、その通りかもと思ったことを子どもとよく相談して取り入れるというゆる~い態度で読むと良いのかもしれませんね。
2017年4月発行のものですから、発行からそれほど経過していませんが、すでに売り切れていて、重版の予定がないようです。いろいろと裏事情がありそうですね(業界を敵にする内容なのか!?)。
(F)