「4年生から26日間完成 小学校の国語 読解力アップ 直結問題集」
著者:高濱正伸、片岡上裕
いざ算数 (プロローグ)
中学受験の算数は特殊で、小学校の算数の成績が良くても解けないことはご存知のとおりです。…と偉そうなことを言っても、中学受験歴がない(F)はガン子が中学受験をすることになって初めて知りました。f^_^;)
ですから、中学受験では算数が足を引っ張ると勝負にならないと判断して、勉強時間の多くを算数に割きました(既出)。あとから読んだ中学受験本にも算数が合格者平均と受験者平均の差が最も大きいと記載されていて自分の考えに自信を深めたこともあり、受験終盤までその方針を変えませんでした。
しかし、小学校の算数とはまったく違う特殊算のオンパレードですから、勉強しなくてはいけないことがたくさんありすぎて、時間を割いてもぐんぐん成績が伸びるということはありません(汗)。
もちろん、算数に時間を割くことには副作用があって、他の教科に割く時間は極小にならざるをえませんでした。
遅れと混乱
算数は順調に勉強できていたものの、算数と同様に配点が高い(4科目同じ配点の学校はほとんどありませんね!)国語は明らかにおろそかになってしまいます。はい、みなさんの想像どおりです(冷汗)。
国語以外にも社会や理科の勉強もしなくてはいけないのに残された短い時間で効率的に何をしたらいいのか?恐ろしいほどの難題が与えられましたが、正解もわからぬままチャレンジの中学受験講座などの長文読解問題に時間を使うのがやっとでした。
不幸中の幸い!?
ガン子は、いくら親がすすめても、夏目漱石、森鷗外、芥川龍之介、太宰治と言ったいわゆる純文学を読むことはありません(苦笑)。しかし、幼いころの読み聞かせに始まり、幼稚園までは絵本、小学校低学年からは小中学生向けの小説を自らすすんでたくさん読んできました。
そのせいか、長い文章を読むことを苦にしなかったことが不幸中の幸いでした。国語に勉強時間を割けなかったこともあって、日能研模試で偏差値が50を少し割ることもありましたが、長文読解問題を根気よく読み解いて大崩れはしませんでした。
時間が割けないからといってそのままで良いはずはなく、(F)は受験本の次に国語の読解の参考書・問題集を読み漁りました。それらは今後少しずつご紹介していく予定です。
花まる学習会
以前ご紹介した『田代式 中学受験 国語の「神技」』の著者である田代先生は、現在花まる学習会(花まるグループの一事業)で講演活動などをしています。今回は、花まるグループの代表である高濱先生と花まる学習会国語講師の片岡先生のおふたり(おそらく執筆のメインは片岡先生)が著者の『小学校の国語 読解力アップ 直結問題集』をご紹介します。
代表の高濱先生によると、花まるグループは「自立と魅力」、子ども向けの表現では「メシが食える人」「モテる人」を目指す教育をしているそうです。その考えのもと運営されている事業は、花まる学習会以外にスクールFCという進学塾、西郡学習道場などさまざまです。
以前紹介した『中学受験 親のかかわり方 大全』の著者である松島先生も花まる学習会の先生です。
ロジックサイン
さて、この問題集のキーワードは、ロジックサイン(論理サイン)です。ロジックサインは、この本では「言葉の働き」を指します。道路における標識のようなものと考えると理解しやすいのかもしれません。
この問題集による読解方法は、まずロジックサインに注目して、文章を構造的に読み解くことから始ります。そして、文章にロジックサインのマークやラインを書きこみ、全体の流れをつかんだうえで要約します。その要約をもとに本文に書いてあることに基づいて解答します。このような一連の流れを身に付けることがこの問題集の目的です。
つまり、キッカケになる言葉「接続表現(接続語・指示語・助詞)」と「心中表現/強意表現」(ロジックサイン)を見つけて、そこから解答を導き出す方法です。
各単元(〇日目)で同じような問題を反復練習して(頭ではなく!?)身に付ける…。難易度レベル的には高くなく、むしろ低めで、「4年生から26日間完成」というのも納得です。反復や難易度からは、「ふくしま式」の問題集に近い印象を持ちました。
相反する考え
同じ学習会の田代先生は、自身の著作『田代式 中学受験 国語の「神技」』で、本来は文章理解に向けられるべき集中力が、線を引く作業によって低下してしまうと、線を引くことを否定しています。
同じグループ内でもロジックサインのマークやラインを書きこむ、かたや線を引くことを否定。
では、どちらがいいのか?
対象の差異
おそらく学年の違いや、習熟度・レベルの違いで使い分けるということで良いのではないかと思います。今回ご紹介した『小学校の国語 読解力アップ 直結問題集』の表紙には、重複になりますが「4年生から26日間完成」と書いてあります。内容は難しくないので、学び始めの4年生、または、成績が伸び悩んでいて初歩に戻りたい5、6年生用として利用するのが正解だと思います。
一方、『田代式 中学受験 国語の「神技」』は子どもが読んで簡単に理解できる内容ではなく、ある程度の偏差値を出す実力を持っている子どもの親または塾講師を対象にしているのだと思います。
入門書
この問題集は、受験国語というくくりではなく、国語の苦手意識を払拭して、「国語ができる」、「国語が得意になる」を目指す入門書という位置づけになると思います。
それを理解したうえで購入して実践すれば、期待する効果が得られるのではないでしょうか?
(F)