下剋上受験 ドラマと書籍 軽やかさと重苦しさ

「下剋上受験」

著者:桜井信一

金曜ドラマ『下剋上受験』

金曜ドラマ『下剋上受験』は、TBSテレビで2017年1月から3月まで全10話で放送されたテレビドラマです。実際、ドラマをご覧になっていなくても、テレビCMや電車広告などで目にした方も多かったと思います。このドラマは、今やすっかり有名業界人になり、講演や執筆でお忙しい桜井信一(仮名)さんと娘さんの受験記に基づいて製作されました。

テレビ放送当時、我が家のガン子は「受験」ではなく、“なんとなく”「受検」するような状態(親から見た感想)で日々を過ごしていました。ですので、「受験」を切実に感じていたわけではなかったのですが、いつもはテレビを観ることはほとんどないのに“なんとなく”惹かれて見てしまいました。隣の家の「受験」をのぞいてみたいというスケベ根性だったのかもしれません(笑)。

ドラマ全体を通して、主演の阿部サダヲさんの好演でおもしろおかしく拝見しました。父娘の二人三脚での塾なし受験がとても大変そうなのはおぼろげながらわかりました。おそらく、中学受験を経験した方と親御さんには私より感じる部分が多かったのだと思いますが、いかんせん私自身に中学受験の経験がないので、明るく軽い感じの演出や時間の制限のためか若干消化不良に感じる部分もありました。

そんな時に文庫版が出ていることを知り、いつものようにポチッ!としてしまいました(わずかながらも佳織さんの教育資金の足しになるのかな?)。

ドラマで消化不良になったところもこれを読めば解決!?

『下剋上受験』(文庫版)

この本全体を通して、こちらはドラマと異なってかなり生々しく重苦しい受験の記録だと感じました。それもお父さん、桜井さん本人の…。父親目線で書いているので、当然と言えば当然ですが…。

正直なところ、私自身が学歴を胸を張って積極的にまわりの皆さんにお話できないこともあって、たとえ中卒であっても立派に生活している人を見下すような気持ちを抱くことはありません。逆に、例えば誰でも知っているような超有名中高一貫校、T大卒のような素晴らしい学歴をお持ちの方に対してコンプレックスを感じることもありません(それは人それぞれの生き方)。そのせいか、この本全体に底流している少し度を越した(!?)学歴コンプレックスに起因する文章がスーッと私の中に入ってきませんでした。

実話(とされるもの)を読んでいるのですが、どこか現実味が乏しく、生々しい受験小説(時には軽妙)を読んでいるように感じてしまったのです。だた、桜井さんご本人は、「中卒ではないお前らには俺の気持ちや置かれている状況がわかるはずない!」とおっしゃることでしょう。そして、そのコンプレックスをバネにして、娘さん(佳織さん)と二人三脚で普通では考えない、考えられない、考えもおよばない勉強をして、O蔭中学は不合格になったものの、見事難関校の合格に導いて、現在の社会的な地位に結びついたのだと思います。

私見

勉強をできる人とできない人は何が違うのか?最初はどんな子どもにもあるかもしれない遊びが楽しいから、勉強より遊びの方が楽しいということが入口なのかもしれません。そして、勉強をしないとわからない、わからないからつまらない、つまらないから勉強しない…以下無限サイクル。これは桜井さんのおっしゃる通りだと思います。「わかった!」という成功体験を続けるように仕向けて、勉強が楽しくなり、どんどん勉強するサイクルに入れる。あとはその子に合った効率的な指導方法をとる。かなり乱暴にざっくり言うと、これが桜井さんが実践した成功の秘訣なのだと思います。だから、少々乱暴な(暴力という意味は含みません、念のため)指導法を採ったりしていますが、その時その時に佳織さんに対してベストと思われるものを選んだ結果なのだと思います。

エピローグに、文庫版だけ「桜井佳織より」が収載されています。これを読むと、指導を受けた佳織ちゃん本人も幸せになれたことをとても実感しているようで良かったなぁと思いました。

日本語が正しく使われていないところもありますが、それは著者がまえがきに書いているように洒落として流しましょう(^^ゞ。

(F)

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