【書評】中学受験 親のかかわり方 大全

「中学受験 親のかかわり方 大全」

著者:松島伸浩

花まる学習会メソッド

著者は小中学生向けの進学塾スクールFC常務取締役で、元々は塾の算数の講師歴や教室長歴があり、中学受験に関わって30年になるそうです。

この本は、巻頭に「十七条の憲法」ならぬ、「十七条の教え」が添付されていて、まず先生の中核的な教えに触れることができます。これは子どもに対するメッセージだそうで、切り取って、壁に貼りましょうと書いてあります。一つ一つ読むと、納得がいく内容で共感しますが、数が多いうえ、ある程度精神的に成熟していない理解できない内容なので(特に男子)、心に響きにくいメッセージなのかなと思いました。

「幸せな受験」

「はじめに」に書いてありますが、第一志望校に入れなかったからその受験はすべて無駄だった、なんて考えて欲しくない。どのような結果が出ても、最終的には受験してよかったという、意味のある受験を全員にして欲しい。それを「幸せな受験」と呼び、指導理念として掲げているそうです。「幸せな受験」をした子どもは、受験はゴールではなく通過点であると気付き、進学後も着実に伸びていくと述べています。

内容

以下は簡単な内容で、時期別、学年別に記述されています。

準備期

・塾に入る前に(「中学受験は親の受験」の本当に意味、入試制度が変わるなかでの中学受験のメリット、幸せな受験をめざす など)、・塾選び(子どもにあった塾選びのポイント、ネットの情報は信用できるのか など)、・4年生になるまでに大切なこと(考えることを楽しむ経験、親子で楽しく勉強するためのコツ、漢字計算だけは先取り学習を、集中力と粘り強さ など)

4年生

・4年生 2月~8月(「なぜ、どうして」を大切にする など)、・4年生 9月~1月(字が汚いのが直らない、式を書かない など)

5年生

・5年生で大切なこと(やる気と自信を持たせる など)、・5年生 2月~7月(自学できる子を育てる「自学ノート」、親が教える時の注意点、子どもの理解度を確かめる方法 など)、・5年生の夏休み、・5年生 9月~1月(志望校をいつ決めるべきか、校風って本当にわかるもの? など)、・5年生のお母さんの悩み(「勉強しなさい!」はNGワードですか?、いつまで言い続ければいいのですか? など)

4~5年はいつもながら我が家は手遅れです(苦笑)。

6年生

・6年生で大切なこと(自学ができる子を目指して など)、・6年生 2月~7月(6年生で算数を効率良く上げる方法 など)、・6年生の夏休み(理科社会は6年生の夏休みでいったん完成させる など)、・6年生 9月~12月(志望校偏差値になかなか届かない、苦手教科がどうにもならない時の最終手段 など)、・6年生 1月~発表(入試直前、小学校は休ませるべきか、入試1週間前の過ごし方 など)、・6年生のお母さんの悩み

中学進学後

・受験後も幸せであるために(合格後も自習室で勉強している受験生 など)

私見

著者は有名カリスマ講師ではないのかもしれませんが、経験は豊富で、「塾に入る前」から「中学進学後」まで親のかかわり方が丁寧に書かれています。タイトルには「大全」と入っていますし、内容的に幅広く書かれていると思います。すでに通塾していて難関・上位校を目指している家庭のニーズにはマッチしないかもしれませんが、まだ中学受験について良くわかっていない、いろいろ詳しく知りたい親御さんがまず1冊、あるいは辞書的に使う本としてオススメです。(基本的に通塾を前提にしているので、我が家にはマッチしない部分もありましたが…)

(F)

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