『わが子に教える作文教室』 (講談社現代新書)
著者:清水義範
公立中高一貫校対策
私立中学受験ではほとんどの場合関係ありませんが(最近は募集定員の一部で適性型の試験を採用する学校もありますが・・・)、ガン子がまだ公立中高一貫校を志望していた時に作文の本を何冊も読みました。
作家
『わが子に教える作文教室』の著者は、作家の清水義範さんです。
「なぜ作家が作文の本を?」
それはご兄弟の関係で小学生の作文指導を十数年していたからでした。そのような背景に興味を持ち、新書で手に取りやすかったため、いわゆる中学受検作文対策の一環で最初に読んだ本です。
内容
以下は読んだ当時のメモ書きです。元々は「週刊現代」に連載されたものを新書化したものなので、第30回まであります。
第1回 何かを欲しい理由を200字で書かせる。家庭内新聞の作成。
第2回 原稿用紙、縦書きにする。
第3回 ほめてやる気を出させる。まずはほめる。7割ほめて3割指導。
第4回 ことばで遊ばせる。5文字以上しりとり、回文、だじゃれ。勉強しているムードがないのが望ましい。楽しく遊んでいる感じを作り出す。ここは面白いと言う。
第5回 原稿用紙の書き方のファミリールール。長い文はわかりにくくなるのでマルのつけ方を教える。
第6回 小学生は長文になりがち。1文は3行を超えないようにする。(マル) テンは意味の切れ目にうつ。
第7回 読みたくなる題名を。した・こと題名は止める。題名は本文を書いてからつける。
第8回 テーマを絞り込む。全部並べて書く必要はない。一番面白かったことを書く。人と違うことを書こうと誘導する。
第9回 擬人法にトライする 私はワカメです…。
第10回 比喩を使えるようにする 鬼のような形相…。グローブのような手…。
第11回 ひとの作文を読む刺激。他人の作文から何かをつかむ。
第12回 小学生作文の文体です・ますからの脱却。
第13回 接続詞を教える。作文のどこか一ヶ所でいいから「しかし」を使わせて作文を書かせてみる。ところが/それとも/それで/だから/すると/けれど/ところが/なのに/そして/それから/その上/ただし/または/それとも/次に。たたみかけずに少しずつ。
第14回 箇条書き。自分の良いところ、悪いところを10項目ずつ書かせる(思考力トレーニング)。自分が遊びたい7つの理由…。自分が勉強をしたくない7つの理由…。
第15回 形容詞は心の響き。形容詞をうまく使えるように仕向ける。
第16回 手紙を書かせてみる。真面目である必要はない。
第17回 観察文はクールだが、心の動きは必ずしも必要ではない。理科的な観察眼を持って記録することも一つの方法。
第18回 調査報告文を書ける才能。興味を持ったことを調べさせて報告文を書かせてみる。心の動きが書けなくても、報告文をうまく書けることはあるので、個性を把握して伸ばす。
第19回 読書感想文は書かせるな。先生に気に入られるために当たり前の結論にしか持っていけない。
第20回 本の帯を作ってみる。その本の魅力を伝える宣伝文。この本は…×。面白いです…×。ためになります…×。
第21回 良い子の作文でなくていい1 大人を意識した文章になりがち。本音を書かせる。
第22回 良い子の作文でなくていい2 作文の目的は表現力を高めること。道徳的な観念にとらわれないようにする。
第23回 物語作りに挑戦。書くのが難しいなら、親が出だしだけ書いて、その続きを書かせてみる。
第24回 パロディの楽しさ1 男の子が書く。
第25回 パロディの楽しさ2 読む楽しみから書く楽しみへの転換。よく読むからよく書ける。
第26回 作文にユーモアがある時 生活が落ち着いていると広い意味でユーモアがある文が書ける。
第27回 作文にユーモアがない時 面白く書いて良いことを伝える。作文指導に道徳を持ちこまない。理解できると反応する。
第28回 長いものを書ききる。書くことを楽しもうとする。子どもに連載小説や連載ドキュメントの執筆を依頼してみる。
第29回 伝わるかどうかの吟味。文章の伝達力。文章を書くということは他人とコミュニケーションをとること。読む人にわかってもらえるかを意識させる。
第30回 発表の場を作ってやる。本、回覧、ホームページなど。
私見
最終的にガン子の私立中学受験には(直接的には)関係ありませんでしたが、最初にこの本を読んだことは個人的には幸運だったと思っています。
第2回に書いてあるように、まず原稿用紙を買って、縦書きすることから始めました。書くことは楽しいこととして子どもに指導する、わかっているようで実行できていないことを始め、参考になる点が多かったです。
この本の内容をガン子にすべて注入できたわけではありませんが、エッセンスみたいなものは教えられたのかなと勝手に思っています。それは作文でなくても(少し長めの)記述問題に対応できる力になったのかもしれません(希望的観測)。
(F)