今回は…
『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』 (学研)
著者:工藤順一
今回も頭のいい子…
今回は前回の『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』に引き続き、『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』の紹介です。
学研の頭のいい子を育てるシリーズ、国語専科教室の教材として発行されています。
前回の『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』は「小学2年~小学4年」向けでしたが、この本、『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』は「小学3年~小学6年」向けに作られています(中学生にも使えると記載されています)。
2009年1月が第1刷で、わが家で手に入れた本は2009年12月発行の第2刷です。
工藤順一先生
(前回の記事を未読のかた向けなので、既読のかたは次へお進みください)
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』、『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』の著者、工藤順一先生は、大学を卒業後、大手学習塾の講師、大学の研究員などを経て、1997年に「国語専科教室」(東京都渋谷区)を開校しています。
受験国語を教えるのではなく、正しい読み書きの力を育てる独自のメソッドを確立して子どもたちを指導していたようです。
残念ながら、2016年12月に先生は他界していますが、「国語専科教室」は先生の志を引き継いで現在も運営されています。
まえがき
「まえがき」に『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』の出版意図が、
「従来のような「起承転結」型の文章ではなく、「結」をはじめに書く「パラグラフ・ライティング」型の文章作成を学習することです。」
と書かれています。
「まえがき」には、工藤先生が「パラグラフ・ライティング」型の作文指導をするきっかけとなったエピソードが紹介されています。
それは、体験授業をしていた時に帰国子女のお子さんが「起承転結」型の文章を書くことに戸惑い、文頭に中心文を置く「パラグラフ・ライティング」型の書き方をさせると課題に対して完璧な文章を書きあげた経験です。
「起承転結」型と「パラグラフ・ライティング」型のどちらが良いとの結論は出ていないそうです。しかし、工藤先生は論理的思考力の養成には、「パラグラフ・ライティング」の書き方を教えるべきだと考えて、この本を執筆したようです。
「パラグラフ・ライティング」はまず結論を書きますので、話し言葉で形容するならディベートの流れに近そうです。
導入編
『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』は、「導入編」、「基本編」、「発展編」、「応用編」の四部構成になっています。
「導入編」では、第一段落の文章の中に「中心文・展開文・結語文」があり、その文の役割について学びます。
中心文を最初に簡潔に書くために、中心文の直後に「なぜなら」、「たとえば」を入れる「なぜなら作文」、「たとえば作文」を書き、主題とは無関係の文が入りこまないように「雑音をさがす」練習などをします。
基本編
次に「基本編」です。
「基本編」では、第一段落の文章の構成には、同じものを説明する文章でも、さまざまな種類があることを覚え、そのパターンに慣れることが目的です。
パターンは7つ(①作り方作文、②ちかみち作文、③とおまわり作文、④言わせて作文、⑤ぐるぐる作文、⑥比較作文、⑦こうである作文)あり、それらの書き方を覚えることで、考える力や表現する力を磨きます。
発展編
続いて「発展編」では、段落をどのように組み立てていくか、長い文章を書く時の順序や決まりを学びます。
段落の中に中心文・展開文・結語文があるように、長い文章にも段落の流れがあることを学習したうえで、「パラグラフ・リーディング」の手法を用いて例文を並べかえて学習します。
応用編
最後に「応用編」です。
「応用編」では、要約と意見文を論理的に書く手法を学びます。
いかにわかりやすく書くかを考え、そのコツをマスターするように練習します。マスターすることで、試験問題を解く時だけでなく、大学入試の小論文対策や社会生活でも役立つそうです。
添削実例の紹介(親が対象)
「パラグラフ・ライティング」の手法を応用して、作文を論理的な文章に書き直す添削実例が紹介されています。
添削実例の手順を応用して添削すれば、子どもが描いた文章もよりわかりやすくなりそうです。
解答例
巻末に作文の解答例が掲載されています。
結論
『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』は、『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』と同じ工藤先生の著作ですが、対象が異なるためアプローチが少し異なります。
『国語脳ドリル 作文王 スタンダード』の目的は、作文に対する苦手意識を払拭し、作文を書く習慣をつけることです。
一方、『国語脳ドリル 作文王 トップレベル』では、“作文慣れ”を前提としてパラグラフ・ライティングの手法を学び、誰にでもわかりやすく書くコツを身につける内容になります。
どちらの本も受験や受検対策をうたっていませんが、学習すると国語力・作文力アップに寄与するのではないかと思います。
(F)