母と一緒に中学受験講座の算数を始めることになったガン子ですが、ここで母について少し。
母は数十年前に中学受験を経験しています。4年生のころから大手進学塾に通塾し、結局第一志望校どころかすべての併願校から不合格をもらい、何とか受験後半戦に二次募集のあった私学に入学。
塾は4階建てのビルで、ビルの真ん中に階段があり、階段を挟んで両側に教室がありました。成績上位者は階段を上らなくても良い1階に教室があり、成績が振るわない下位層はいつも上まで階段を上らなくてはならない仕組みになっていました。
帰りも、上位層が早々に1階から帰った後、渋滞する階段をノロノロと降りてくる。
小学生の中にも優劣があり、優秀な人は特権を与えられている。その中に入りたいと思うことさえできないほど彼らは別世界にいるのだと感じながら階段を上下した3年間でした。
決して塾へ行くことが嫌だったわけでも、受験勉強が苦痛だったわけでもないと思うのですが、高学年になるほど模試の結果や伸びない成績に自分の実力を痛いほど感じ、両親の反応を気にして負い目を感じていたことが強く印象に残っています。
両親にかけてもらったお金や自分が勉強に費やした時間に対して、見合う結果が得られなかった、というのが母の中学受験体験です。
そんな経験から、自分の子どもは中学受験をしなくてもいいとずっと考えていました。
しかし自分の通う小学校の現実を目の当たりにし、自分の将来を案じたガン子におつきあいする形で再び小学生の勉強を始めることになりました。
塾に通って地元の公立中高一貫校を目指す!と言っても、どのような問題が出題されるのか、まずはそれについて知りたい。
2017年度から2014年度の過去4年分の「銀本」を購入し、そこに掲載されているすべての学校の作文以外の問題を分類する作業を父と母と分担して行いました。新しい年度の本になるほど分厚くなりますが、作業に慣れてくると、特に何校でも出題されている問題や、重要だと思える問題が見えてきました。答えだけを見ても解き方が分からない問題は必ず解くようにし、公立中高一貫校の問題に対する経験値だけは上げておこうと思ったのです。母が受検するわけではないですが、ガン子が塾でどんなことを勉強しているのか、どんなものに挑もうとしているのか知りたかったし、知っていれば作戦を練りやすいと考えたからです。
やたら物知りなお父さんとすぐに実験したがる子どもの不自然な会話や、何度も出てくるキャンプネタに辟易しながらも黙々と作業を続け、ガン子が小学5年生の12月。
「中学受検」と「中学受験」の違いが分かってきたこの時期にあえて中学受験講座を受講したのは、塾に通っていながらも塾の進度に追いつけないガン子が数十年前の自分と重なったからなのか、焦りがあったからなのか…
とにかく「追いつきたい、追い越したい!」という一心で机に向かいました。
次第にガン子の「塾のみんなに追いつきたい」という気持ちは「中学受験講座に追いつきたい」という気持ちに変化していたのだと思います。