「もう悩まない中学受験」
著者:小川大介
著者
以前書評でアップした「中学受験基本にキ!」の著者の一人で、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1の代表を務めている先生です。元々は国語の指導がご専門のようです。
自分の教室が選ばれている理由を「中学受験の悩みを今すぐ解決したい」という、お母さん、お父さん、そしてお子さん本人の期待に応えて来たから自信満々に述べています。集団塾を使いこなすための個別塾という特殊な教室ですが、自分たちの指導に対する自負心なのでしょう。
内容
以下、内容です。
第1章 悩みと焦りのスパイラルから脱出しよう
通塾開始後に親が感じる息苦しさが、「塾課題のムリとムダ」「主導権を塾に奪われる」ことに起因していて、受験問題が年々難しくなり、塾の授業で習わないことが出題される状況下で、与えられたものをこなすだけの勉強では、結果が出ないのはむしろ当然なので、戦略を持って中学受験に臨みましょうと述べています。 ⇒ 今の悩みが子どもや親のせいではないというお話について書いています。
第2章 合格できる作戦は、こう立てる
「先が見えない受験」「合格が見える受験」に分け、塾に振り回されずに、取捨選択をする判断基準を持つこと=戦略の重要性を説いています。得意科目、苦手科目に関わらず戦略を立て、感情と事実を分けて子どもの現状を知る、子どもの日常を見極めている、具体的な目標を立ててやるべきことを明確にする、ところどころすき間の空いた計画を作る、集団塾の講座を選んで受けて身につける、役割分担してこどもの勉強を効果的にサポートする、 ⇒ 成功のカギを握る「戦略」を強調しています。
第3章 みんながぶつかる壁が分かれば、もう怖くない
早くから次年度の生活を意識する、できない理由を分析して“できる”に変える、“つまずき対策”と“習慣化”で成績を上げる、 ⇒ 誰もがぶつかる壁とその対策について説明しています。
第4章 成績を上げるマル秘テクニック
子ども自身が動けるスケジュールを立てる、ノートと答え合わせを工夫して毎日進歩する、学習サイクルを確立する、宿題を選んで演習し、弱点解消は別に取り組む ⇒ 成績がアップする家庭学習の方法を紹介しています。
第5章 苦手科目は父母のサポートで克服できる
算数、国語、理科、社会の順で親のサポートで克服する方法を説明しています。国語が一番具体的 ⇒ 苦手科目はどう立て直せば良いのか具体的なやり方を挙げています。
第6章 子どもが頑張りたくなる生活サイクル
“このチームなら上手くいく”と家族全員が思っている、肯定的な声掛けで可能性を引き出す、子どもの行動を褒める、必要な本がすぐに手に取れるところにある、睡眠時間を確保してムリ・ムダ勉強をばっさり削る ⇒ 合格しやすい生活習慣の秘訣が述べられています。
第7章 不安を越えて強くなった
事実をとらえて理性と行動で乗り越える、今できることに集中する、塾をやめるか続けるかは子どもが頑張れる環境かどうかがカギ、志望校選択の極意は併願校の決め方、入試につながるテスト対策 ⇒ 追い詰められてもまだ手があるというお話が記述されています。
第8章 悩んだ先にゴールが見えた!
問題の原因を突き止め、正しく「指導」して結果が得られた7人の実例が紹介されています。 ⇒ 実例から学ぶ合格のヒントの紹介になります。
私見
共著の「中学受験基本にキ!」とは違って自らの考えをより明快に書いていると感じました。他書に見られないような内容も書かれていると思いますが、全体的に自分が代表を務める塾のための塾を前提としていたり、塾への誘導を感じさせる文が多いことを読者がどう感じるかで評価が分かれそうな本です。
(F)